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2007/8/19

『SUPER GT 第6戦』


シリーズ後半戦に入ったSUPER GT。第6戦の舞台は、三重県・鈴鹿サーキット。開幕戦に続き、今シーズン2度の戦いを迎える。しかしながら、今回はSUPER GTシリーズで最長の1000km、しかも唯一の夜間走行を伴うハードな戦いである。この1000kmレース自体は今年で36回目を迎える伝統の一戦だが、SUPER GTシリーズの中に組み込まれたのは昨年から。以前は「真夏の祭典」ということもあり、お祭り的要素も多かったが、シリーズ戦になってからはスプリントレース化され、ドライバーにとっては過酷な一戦へと変貌した。
金曜日は通常のセッションにナイトセッションを設け、合計3セッションの練習走行が行われた。決勝のシミュレーションを丁寧に行ったチームでは、ライバルたちの動向を気にすることなく自分たちの仕事に集中し、スケジュールに沿って仕事を進めた。


土曜日も前日同様、暑さが厳しい一日となる。予選では惜しくも11番手に甘んじたため、スーパーラップ出走のチャンスは訪れなかった。だが、1000kmという長丁場の戦いであれば、十分にトップ争いは可能と、気も新たに決勝に向けて綿密な戦略作りに尽力することとなった。
迎えた決勝日。早朝こそ曇天だったが、レースは酷暑の中で展開。序盤からテンポよくポジションアップを果たし、上位争いに食い込むことに成功。ミスのないレース運びで虎視眈々とトップを狙った。さらに終盤、天気が崩れて瞬く間に豪雨に見舞われたが、ひるむことなく攻めのレースを続行。雨が止んだあとはいち早くスリックタイヤを装着し、怒涛の追い上げを開始する。結果、トップとの差を見る見る詰めて逆転に成功! 終始、見どころ多いレースを披露し、今シーズン初優勝を果たした。
なお今回、サーキットのグランプリスクエアにおいて、ジェイエススタイルカンパニー・脇阪寿一・薫一プロデュースのイタリアンカフェ「脇阪家(わきさかや)」を出店。真夏の祭典に足を運んでくれたファンが楽しいひと時を過ごしてもらえるようにと、オリジナルメニューのパスタやカクテルを考案した。土曜夜の前夜祭では、脇阪兄弟に加え、交流ある大勢のドライバーがトークショーに参加。大いに盛り上がったファンに楽しい時間を提供することとなった。


■8月17日・金曜日 公式練習
金曜日の練習走行は朝から好天気というよりも、むしろ厳しい暑さになった。午前9時40分から練習走行がスタート、すでに気温36℃、路面温度47℃の厳しさだ。暑さに加え、路面コンディションが不安定なのか、コース上で飛び出すクルマも多く見られ、赤旗中断が3回と、荒れた中での走行となった。No.1 宝山 TOMユS SC430にはまずA・ロッテラー選手が乗り込み、マシンをチェック。引き続き脇阪がドライブし、セットアップを進めた。1000kmの長丁場ということで、マシンにはさまざまな暑さや耐久性への対策品が搭載されている。バッテリーやクールスーツなど結果的に容量が増えるため、マシンバランスの見直しも作業のひとつとなった。一方、第3ドライバーとしてTOM‘Sで全日本F3に参戦するO・ジャービスが加入したため、午前のセッション終盤にドライブを担当。数多くのメニューを消化し、このセッションを8番手で終了した。
午後2時10分からの走行2回目。チームでは午前中に引き続き、マシンバランスの見直しを行う。セッティングに関しては、ほぼ方向性が見えているということもあり、決勝を意識したマシンチェックに時間を割くこととなった。そして午後5時45分から1時間にわたり、ナイトセッションがスタート。まだ日が高く、日没後のライト点灯は6時10分からとなった。ライトオン後、ロッテラー選手、脇阪に加え、ジャービス選手もドライブ。決勝に向けて手抜かりのない準備を進めた。
全セッションを振り返りながら、脇阪が今回の戦いに向けての意気込みをこう語る。
「今回は、1000km仕様のマシンになり、ウェイトが重たくなったので、前後バランスが崩れ、フロントヘビーになってしまいました。だいたい余分に10数kg搭載するような感覚です。結果的にこれが原因で午前のセッションはタイムが出せず、バランスの見直しを行うことになりました。午後の走行で合わせ込みを担当したのですが、バランスがうまく取れるようになり、手ごたえを感じています。明日の予選では、タイムを出すためにマシンが軽い状態になるので、またバランスが微妙に変わってきます。それをどううまく調整するかになるでしょう。今日はソフトタイヤをできるだけ使いたくなかったので、ハードでの走行が中心となりました。その中で出したタイムとしては悪くないと思います。一発の速さだけを比較するとライバルのNSXに分があるでしょう。しかしながら長いレースを考えると、いいタイムが出ているので、ライバルたちの動きに惑わされることなく、自分たちのベストのレースをすることが一番だと思っています。今年は細かなミスなどがあって、あと一歩で優勝を逃したケースもあるので、今回ミスなくレースができれば自ずと結果は出るはずです。“初心忘れべからず”の気持ちで戦います」
また、「真夏の祭典」を盛り上げようと、グランドスタンド裏のグランプリスクエアにおいて、「脇阪家(わきさかや)」をオープンさせたことについて、「暑い中、レース観戦のためにサーキットへと来てくださるお客さんに、オイシイものを食べていただき、元気に楽しくレースを観戦してもらいたいという思いから、鈴鹿サーキットさん、そして大阪・心斎橋のローマ料理“イル・ジェメッロ”さんとコラボレートしました。僕と、弟の薫一がそれぞれ試行錯誤してオリジナルのパスタメニューやカクテルなどを考案しています。土曜日の夜には前夜祭も行い、ドライバートークショーの開催も予定しています」と説明。日頃から、モータースポーツ振興を意識する脇阪ならではのアイデアが「脇阪家」に集約されることとなった。


■8月18日・土曜日 予選
午前10時、予選1回目を迎えたサーキット。気温はすでに35℃、路面温度は45℃にまで達成している。まずGT300クラスの専有走行が始まり、その20分後にGT500クラスのアタックが行われた。すぐにコースには向かわず、多くのライバル同様、路面コンディションの安定を待ってコースイン。残り10分の時点からアタックを開始した。No.1宝山 TOMユS SC430は、ロッテラー選手がタイムアタックに入る。自己ベストタイムは1分56秒867。この時点では8番手につけていたのだが、チェッカーラップでタイムアップを果たしたマシンが続出。結果、No.1宝山 TOMユS SC430は11位で予選1回目を終了。残念ながら、スーパーラップへの進出を絶たれた。
GT300クラスとの混走に入り、脇阪が出走。まず予選通過基準タイムをクリアすると、多めにガソリンを搭載し、決勝用のセッティング確認を始めた。路面コンディションの変化によるものか、前日よりもクルマがドライブしにくくなっていた模様。
「もしアンドレがトップ10に残れていたら、混走時は(基準タイムを)クリアするだけで、続いてオリバーにもタイムクリアをしてもらう予定でした。でも11番手になったので、午後の予選2回目はオリバーがドライブする時間に充てました。そこで、ガソリンを積んだマシンで僕が周回し、セッティングの確認をしたんですが、この状況をデータを見て、セットなどの見直しをする必要がありますね」と脇阪。
結果、午後の予選2回目は、ロッテラー、ジャービスの両選手が走行。午前中に脇阪がセッティングしたマシンを確認している。




■8月19日・日曜日 決勝
決勝日の朝は、曇天模様。天気予報では夕方に雨になる可能性もあるという。しかしながら、午前9時からのフリー走行が始まる頃には、抜けるような青空が戻り、ギラギラと暑い一日が再び始まった。
気温29℃、路面温度37℃の中、フリー走行がスタート。いつものようにロッテラー選手が先にコースイン。周回ごとにポンポンと小気味よくポジションアップを見せるNo.1 宝山 TOMユS SC430。一度はトップタイムをマークし、セッティングの煮詰めがいい方向に向かっていることを裏づける。結果、ロッテラー選手は1分58秒208までタイムを縮め、2番手で脇阪へとステアリングを委ねた。脇阪は決勝用セットの確認をメインに行い、周回を重ねてセッション終了となった。
「昨日の予選でやや気になる点が残っていたので、その確認をフリー走行で行うことになりました。とにかく長いレースなので、今日はミスなく戦うことが大事になります。雨のことも気になりますが、天気の行方に関してはみな同じ条件なので、あまりこだわらないよう、うまくまとめるようなレースをしたいですね」
午後1時。36回目となった1000kmレースが幕を開ける。気温33℃、路面温度51℃とまさに酷暑の中で迎えた戦いは、このあとさまざまなドラマを展開し、No.1 宝山 TOMユS SC430にとって、劇的な結末を迎えるものになっていく。
11位でスタートしたNo.1 宝山 TOMユS SC430は、レース序盤から着実にポジションアップ。ソフトタイヤを装着するライバルにも匹敵する速さで上位陣を脅かしていく。気温の上昇とともにヒートアップするクルマも多く、GT300との接触や、ピット作業時の火災などのアクシデントも発生する荒れた様相となる中、No.1 宝山 TOMユS SC430は脇阪が語っていたように「自分たちのレース」に徹し、冷静沈着な走りを続けた。
最初のピットインは、32周終了時。コースに向かった脇阪はコンスタントなペースで周回を続け、ポジションアップ。46周目のヘアピン入口でNo.3を逆転し、4位へと浮上する。そして50周には2位へ浮上。トップNo.8 NSXとの差を見る見る詰めて、あっという間に差が1秒を切る活躍を見せた。そして68周を終えてピットイン。再びロッテラー選手へとスイッチする。
依然続くNo.8 NSXとのバトル。レース折り返しとなる500kmを過ぎる頃にはやや差が開き、3〜4秒となったが、数多く周回遅れをかわしながらの走行では、あっという間にその差が縮んだり詰まったりするもの。どんな形で逆転のチャンスが訪れるかわからないレースでは、まず自分のレースに徹することが大事と、ミスのない走りに徹した。
3度目のピットインは104周終了時。ライバルNSX勢はフロントタイヤへの負荷が少なく、タイヤ交換の際、2回に1回の割合でリアタイヤのみで済む。つまり、ピット作業の時間が他車よりも約10秒短縮される。No.1 宝山 TOMユS SC430がトップとの差を思うように詰められない理由がここにもあったが、2度目のスティントとなった脇阪は落ち着いた走りでNo.8 NSXを射程距離内に捕らえ続けた。
夕方に入ったサーキットだが、雲の行方が怪しくなってくる。そして午後5時20分、「西コースで稲光」の場内アナウンスが入り、その20分後には雨が降り始めた!濡れた路面に足元をすくわれる車両が続出、瞬く間にヘビーウェットへと豹変したコース上は危険極まりない状態となった。
レインタイヤへとスイッチするため、136周を終えて脇阪がピットイン。ロッテラー選手へとスイッチした。このとき、スタッフはトップNo.8 NSXよりも約6秒速くピット作業を完遂。チームの底力を発揮した瞬間だった。コース上はバケツをひっくり返したような豪雨。これでハイドロプレーニングを起し、大クラッシュする車両も現れるほどの警戒態勢だったが、No.8 NSXとのバトルは次第に白熱、雨の中でその差が約2秒半まで縮まった。
だが、雨が止み、コースを走るマシンから水煙が上がらなくなると、僅差だった2台に間隔が生まれてしまう。チェッカーまで残り10数周。3位との差はおよそ1分弱。このままレインタイヤでチェッカーを受けることは、2位に甘んじることを意味すると考えたチームでは、スリックタイヤを装着し、再び戦闘態勢に入ることを決意。ロッテラー選手に無線で主旨を伝えた。また、No.8 NSXに作戦をさとられないよう、ピット前にスリックタイヤを置かずに作戦を開始。No.8 NSXがメインストレートを通過した後、ピット奥からスリックタイヤを持ち出し、ロッテラー選手のピットインを待ち構えた。
159周を終えて、ロッテラー選手がピットイン。すばやい作業でスリックタイヤを装着し、コースへと復帰する。足元には、金曜日に脇阪が熱を入れ、皮むきしたタイヤが装着されている。No.1 宝山 TOMユS SC430の作戦を知ったNo.8 NSXはその次の周にピットイン、スリックタイヤへと交換したが、ニュータイヤでのアウトラップにはスピードがなく、162周目のデグナーカーブ2つ目でロッテラー選手がついに逆転を果たした。
その後もハイペースで周回を重ねたNo.1 宝山 TOMユS SC430。2位のNo.8 NSXとの差がみるみる開き、ラスト5周では約18秒と大差になる。その直後、パラパラと少雨が落ちたものの、ロッテラー選手は後続との差を見て、ペースをコントロール。脇阪を筆頭に多くのスタッフが待ちわびるピットウォール前を駆け抜け、待望の今季初勝利を上げることになった。
満面の笑みで表彰台の真ん中に立ったNo.1 宝山 TOMユS SC430の3選手。ミスなく冷静な戦いを実現させた勝利によってシリーズランキングを同率4位まで引き上げ、後半戦の戦いに大きな弾みをつけることに成功した。



■脇阪寿一 コメント
いい戦いができました。勝ててホッとしています。エンジニアも悩んでいたようですが、結果が出せて良かったと思います。とにかく今シーズンはミスで落としたレースがいくつかあったのですが、今回この鈴鹿ではミスのないレースができた結果、優勝できました。朝のフリー走行を終えた段階では少しフィーリングが良くなくて、調整をしてもらいました。僕がドライブしていたとき、No.8 NSXに対して1周1秒のペースで差を詰めたのですが、ある程度まで詰まると、相手もペースを上げて応戦になりました。ある意味心理戦となりましたが、いい戦いができたと思います。終盤、あっという間にレインコンディションに変わったときは、チャンスとばかり即、アンドレにステアリングを託しました。ヘビーウェットの中、アンドレが2度コースから飛び出してクルマを少し傷めることになったので、ペースを上げることができなかったのですが、かえってそれで気持ちを落ち着けることができたようです。最後、路面が乾き、スリックタイヤを装着することになりましたが、金曜の時点で一度皮むきをしたソフトタイヤを残しておいたのがいい方向に働きました。今日はファンのみなさんに喜んでもらえるレースができて良かったと思います。後半戦に向けていい流れをつけることができました。これからますます頑張っていい戦いをしたいと思います。皆様におかれましては、今後ともご支援、ご鞭撻くださいますよう、心よりお願い申し上げます。










 
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