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2007/7/29

『SUPER GT 第5戦』


SUPER GT第5戦は、シリーズ折り返しの一戦。舞台はみちのく仙台・スポーツランドSUGOだ。例年、このサーキットでの戦いは、厳しい暑さや予想以上の涼しさに見舞われることが多く、天候面で不安定なことが多い。今年は、金曜日がじりじりとした暑さ、そして土曜、日曜日が予想以上の寒さに加え、気まぐれな雨が降るという、まさに天候に翻弄されるレースウィークとなった。

今回、07モデルのSC430には新たなリアフェンダーが装着されており、その確認とセッティングの合わせ込みが必要であったため、金曜日の公式練習は開発を担った脇阪が主流となって走行を行った。脇阪によると、ニューパーツには多少のクセがあり、繊細なセッティングを要するとのこと。したがって、まずはニューパーツを知り尽くす脇阪に走行を委ねようということになったのだ。アジャストを加えながら順調に作業を進めた結果、パートナーのアンドレ・ロッテラー選手も安定した好タイムを刻むようになった。

土曜日は前日と打って変わっての曇天模様。確実な仕上がりを見せたものの、想定した気温よりにやや低い中でのアタックであったため4番手に甘んじた。だが、上位3台に比べて安定した決勝ラップを刻める確証があったチームでは、虎視眈々と目標設定を勝利に定めていた。迎えた決勝日。決勝直前に雨が落ち、ウェットレースとなる。序盤から攻めの姿勢を貫き、ピット作業でトップを奪取。迫りくるライバル達との緊迫した激戦を制した脇阪が、レースを牽引した。ところが、のちにピットイン時の走行にペナルティが下され、ドライブスルーを強いられる。悔しいポジションダウンとなったが、気迫ある走りを最後まで披露し、5位でチェッカーを受けた。






■7月27日・金曜日 公式練習
金曜日の練習走行は朝から好天気に恵まれ、午前10時を前に気温28℃、路面38℃という暑さになった。今回から新たなリアフェンダーが装着されることになったNo.1 宝山 TOM’S SC430。まずはマシンのセッティングが最初の仕事となった。これまでオートポリスや富士でのテストで、このニューパーツの開発、テストを担当している脇阪がまず走行開始。総体的なマシンのセットアップはもちろんのこと、予選、決勝で装着するタイヤの選択など、多くの作業を精力的に消化した。午前のセッションでは8番手どまりだったが、気温32℃、路面温度が47℃まで急上昇した午後からのセッションでは、トップと0.162秒差の1分15秒807をアンドレ・ロッテラー選手がマーク。2番手のタイムで金曜日のセッションを終了した。「午前中のアンドレは、オーバーステアで苦しんでいました。新しいリアフェンダーは、車高感度がナーバスで、ダウンフォースの微妙な調整が必要なんです。一方で菅生のコースはフロントをシャープに切り込むセットにしたい。しかしながら新しいパーツは以前のものに比べてマッチングが難しいので、細かなセッティングの合わせ込みを行いました。シビアではありますが、セットが決まればバッチリの状態になります。今日はこのほか、2種類のタイヤチェックをするなど、いろいろと作業をしました。もともと菅生は好きなところですし、乗りやすいサーキットです。NSX勢の速さが今日も目につきましたが、僕たちは一発の速さよりも決勝での速いラップが刻めるような戦いをしたいと思っています」と脇阪は後半戦に向けて新たな流れを作るべく、レースへの期待を語った。

 




■7月28日・土曜日 予選
前日は暑さ厳しい天気だった菅生も、予選日は曇天模様。それでも午前11時からの予選1回目では、気温29℃、路面温度は34℃。セッション終了までの間、じりじりと気温、路面温度はともに上昇を続けた。GT300の専有走行を経て、GT500のアタックがスタート。早くからコースインする車輌もいる中、No.1宝山 TOM’S SC430はしばしピットで待機、周りの動向を見守った。専有走行終了まで約5分となり、ロッテラー選手が本格的なアタックを開始。計測3周目に1分15秒822の好タイムをマークしたロッテラー選手はまず3番手につける。この後、僅差のポジション争いが激しくなり、ポジションが変動。結果、No.1宝山 TOM’S SC430は4位で予選1回目を終了し、午後からのスーパーラップへの進出を決めた。

GT300クラスとの混走では、脇阪が出走。ニューパーツのチェックを兼ね、データを取るなど、さまざまな作業を行いながら周回。その中で満タンの走りもチェックし、ほぼメニューにそって仕事をこなした。「パーツの確認は一通りできました。満タンの状態も良かったし、多少微調整は残っていますが、僕のクルマとしてはほぼ完璧な仕上がりです」と脇阪。スーパーラップを前に行われた予選2回目は、ロッテラー選手がアタック用のセッティング確認をするに留まった。

午後3時半すぎにスタートしたスーパーラップ。一時的に陽射しも出た菅生だが、すでにどんよりとした灰色の空が居座っている。気温29℃、路面温度33℃と、数字だけみると朝のセッションとほぼ同様だが、朝より肌で涼しさを感じることができる状態。ひと足先にアタックを終えていた一台のNSXが1分15秒5をマークしており、これが事実上のターゲットタイムとなる。

ロッテラー選手は7番手でコースイン。序盤のセクタータイムで少し出遅れたが、後半でタイムを稼ぎ1分15秒752をマーク。この時点で2番手につけた。残るは3台。その中のNSX2台がロッテラー選手のタイムを上回ったため、最終的には4番手でアタック終了。セカンドローからのスタートとなった。

金曜の練習を終え、予選でのNSXとの差は1秒近くあるだろうと見ていた脇阪。スーパーラップでは約0.6秒差だったが、実際、予選1回目では予想どおり、その差は1.038秒。そのせいか、脇阪は至って冷静だった。

「肝心なのは決勝でどれだけいけるか、なんです。向こうは決勝と予選とのタイム差があると思いますが、こちらは決勝でのいいタイムを狙っていけます。あとは自分たちの実力でどこまでできるかですね。決勝で彼らと変わらぬペースで走れるよう、明日の朝のフリー走行で微調整していきたいと思います」



■7月29日・日曜日 決勝
曇天模様の朝を迎えた決勝日。午前9時からのフリー走行を前に、気温22℃、路面温度は25℃と、肌寒さを覚えるほどの天気へと変貌した。この急激な変化に、チームではリアのダウンフォースを変更し、マシンチェックを行うことにする。まずはスタートのシミュレーションとしてロッテラー選手がコースイン、走行を重ねて9周を走行。その後ピットインでタイヤを交換し、脇阪がセッション終了までステアリングを握った。

「リアのダウンフォースの変化を確認したのですが、あまり良くなかったので、セットアップを変えてみました。アンドレと交代したとき、20〜30周走り込んだタイヤに変えて、レース終盤を想定したテストをしたのですが、これは手ごたえがありました。特に狭い菅生のコースでGT300の車輌を処理するシミュレーションをしたのですが、処理で2〜3秒タイムが落ちるということがわかったのは良かったと思います」と脇阪。3番手でフリー走行を終え、決勝に向けて最終準備が着々と進んでいる様子だった。

午後に入り、突如雲行きが怪しくなってきた菅生。冷たい風が吹き、雨の気配が漂う中でスタート進行が始まる。そして各車輌がコース上のダミーグリッドについた午後1時15分ごろ、無情の雨が降ってきた。戦いを目前に静寂だった周囲は瞬く間に慌しくなり、スタッフがレインタイヤを運び込む。一時は叩きつけるような強い雨となり、コース上には川ができたため、レースはセーフティカーが数周にわたって先導するスタートへの変更が決定。だが、皮肉にも、全車がダミーグリッドを離れる頃には雨が止み、グランドスタンドから傘の花が次第に減っていった。

No.1 宝山 TOM’S SC430はいつものごとく、ロッテラー選手がスタートを担当。6周までセーフティカーが先導したが、実質レース再開後は、3台のNSXを追う展開となった。一度止んだかと思われた雨がまた細かく降り出しており、タイトな菅生のコースを果敢に攻めるにはまだリスクが高い状態だったが、その中でもロッテラー選手は安定した速さで前との差を少しずつ詰めていく。そして26周目の3コーナー。前をいくNSXがコースアウト。これで3番手へと浮上、引き続き2番手を追走した。

レースは30周を過ぎ、ひと足早くピットインした後続の車輌が、スリックタイヤを選択。路面の走行ラインが次第に乾き始めたこともあり、後半戦でのバトルに拍車がかかる可能性が高くなる。そうこうするうちに、トップにいたNo.8NSXが先にピットイン。トップ争いが暫定的に2台となった。完全に前のNo.8NSXよりもペースが速いNo.1 宝山 TOM’S SC430は、No.8が周回遅れのGT300車輌に手こずっている間にトップへと浮上。そのまま43周終了時点でピットインを行った。実はこのとき、GT500のトップ2台とGT300の2台の全4台が一斉にピットイン。ロッテラー選手は自分の右側にいた車輌との接触を避けるため、マシンを左へと振って窮地をしのぐ。ピットでは、No.18NSXとの作業勝負。No.1宝山TOM’S SC430がここでもNo.18NSXを封じ込めることに成功し、そのままトップでコースへと復帰した。

脇阪はじっくりとかつ丁寧にスリックタイヤへと熱を入れ、近づく戦闘態勢に準備万端。背後に迫るライバルたちをうまくコントロールする。そして迎えた47周目。ストレートではアウト側に脇阪、その隣にNo.18NSX、イン側にNo.8NSXがスリーワイドのままバトルを展開しながら通過。最後の最後までラインをキープした脇阪が真っ先に1コーナーへと飛び込み、手に汗握る勝負に打ち勝った。

その後も気の抜けない攻防戦が続いたが、巧みなコントロールで脇阪がトップを快走。だが、この後、思わぬ結果が待ち受けていた。なんと62周目を走行中、No.1宝山 TOM’S SC430にドライブスルーペナルティが提示されたのだ! ピットロード入口で他車輌との接触を避けた行為がピットロード入口でのホワイトラインカットとなり、ドライブスルーペナルティに。悔しい判決ではあったが、翌周にはペナルティを受け入れ、再び5番手からの追い上げを開始した。

その後も脇阪はハイペースでポジションアップを狙っていくが、GT300車輌が入り混じる大混乱の中、逆転までには至らない。最後までチャンスを狙って攻めの姿勢を貫き、5位でチェッカー。さらにポイントを加え、ランキングは8位へと浮上した。

 



■脇阪寿一 コメント
早く路面状況を把握して自分のペースを作り上げようとは思ったのですが、前がよく見えなかったんです。ガラスが汚れてて視界が確保できませんでした。コースのどこが乾いているのかどこがぬれているのかが区別しにくくて苦労しました。あと、出ていってすぐにエンジンのワーニングランプが点きました。ラジエターに少しゴミが詰まっていたようで、この影響でエンジンパワーを引き出せませんでした。その後、2台のNSXとメインストレートでバトルを展開しましたが、今回はクルマの仕上がりもよく、うまくリードを奪えた時点で、今日のレースは勝ったと思っただけに、ペナルティはとても残念です。次の鈴鹿1000kmはさらに過酷な戦いになりますが、がんばります。これまで同様、ご支援、ご鞭撻を賜りますよう、よろしくお願い申し上げます。




 
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